旧姓横島・極楽大作戦!!
三話


「あなた達は何者ですか?」

 場所を美神の事務所にかえて、再度小竜姫が男に問いただす。

「ふぅ、答えますよ。
 ですから、その手を放してくれませんか」

 小竜姫は、神剣の柄を握り、いつでも抜刀可能な状態だ。
 逆に男たちは、ソファーに座りくつろいでいる。

「あなた達が何者かわかってない以上、それはできません」

「はいはい」

 男はバイザーを外した。

「「よ、横島クン(さん)!?」」

「お、俺?」

 周りから驚きの声がでる。

「今は横島ではありませんが、正解です。
 未来から時間を遡って来ました」

「時間移動?
 横島クンは時間移動能力者なの!?」

「いえ、俺にその様な能力はありませんよ。
 文珠を使ったんですよ」

「文珠!?」

「ええ、この通り」

 男の掌に数個の文珠が現れる。

「文珠って使い勝手が凄くいいんですよ。
 力さえあれば、幾つでも同時に使う事ができる」

「パパぁ〜、私達の紹介は?」

 少女達は無視されてちょっとだけ怒ってるようだ。

「パパぁ?
 会場でもそう呼ばれていたけど、この子ってあなたの子供なの?」

「ええ、娘の蛍です」

 と、背の低い方の頭を撫でながら答える。

「ふぅ〜ん、横島クンの子供か」

(そうか、俺の娘だったのか。
 通りでよくみかける奴に似ているわけだ。
 でも、俺以外に他の誰かにも似てるんだよな〜)

「で、こっちの子がひのめ。
 知り合いの妹さんですよ」

 蛍と同じように、ひのめの頭も撫でる。

「へぇ〜、知り合いの妹ね」

 含みのある言葉を言う。

「蛍ちゃんが未来の俺の娘って事は、抱きついても親子のスキンシップって事だよな・・・・・。
 も〜お父さんはタマランデスタイ!!」

 ドカッ!!

「会場でも言ったが、俺の娘に触れるな!!」

 再び飛びかかるが、またも迎撃される。

「な、なじぇだぁぁぁぁ!!
 お前は俺で、俺がお前のはず。
 なら、当然俺も蛍ちゃんのお父さんだ、親子のスキンシップを何故邪魔する!!」

 反省無し。

「よ〜こ〜し〜ま〜ク〜ン、あなたはちょっと黙ってなさい!!」

「は、はいっ!!」

 美神の言葉には逆らえない横島。

「あんた達の名前はわかったけど、苗字は?
 あと、何故この時に戻ってきたの?
 それに、会場で見せたあなた達の異常な力について、答えなさい」

「やっぱり美神さんですね。
 俺がそこにいる丁稚の横島だとわかると強気になりますね」

「いいから答えなさい」

「はいはい。
 俺と蛍の苗字は、六道。
 ひのめは、美神です」

 !!!!!!!

「六道に美神!?」

「そーか、どおりで俺以外の誰かに似てると思ったわけだ。
 冥子ちゃん、今から俺たちも子供を―」

 チャキッ

「子供を・・・・・何だって?」

 美神の命令を無視し、標的を冥子に切り替えた横島だが、男・・・六道忠夫の持つ刀によって動きを止める。

「いや〜、今のうちに冥子ちゃんと仲良くなっておこうと思って」

 冷や汗を流しつつ未来の自分に答える。

「一つ言っておく。
 過去は一つかも知れないが、未来は一つではない。
 その時の行動によってかわっていく」

「一つじゃないって事は、冥子と横島クンが結婚しない未来もあるの?」

 具体例をあげる美神。
 美神の横でおキヌは、未来の横島・・・六道の言葉を待っている。

「それは、そこにいる横島しだいですね」

 おキヌが期待した答えは返ってこなかったが、まあ良しとしておこう。

「で、ひのめは美神さんの妹ですよ」

「い、妹って・・・・だって私のママは・・・・」

 母親が死んだと思っている美神には、到底信じられな事だ。

「後でわかりますよ。
 次に何でこの時に戻ってきたのかですが・・・・・・ま、何となくです。
 いずれ向こうに戻るかもしれませんが、数年はこっちで過ごす予定ですね」

 今までとは違い、横島と同じような軽さで言葉を紡ぎだした六道。
 それこそ、ただ遊びにいただけのように。

「ふ〜ん、まあいいでしょう」

 美神は何か引っかかる事でもあるのか、少し悩むのだが、話の続きを促す。

「力については修行したとしか言えません。
 それこそ死ぬ可能性が高い修行を毎日毎日・・・・・ま、そのおかげで強くなれたんですけどね」

「これからどうするつもりなの?」

「み、美神さん!!
 こんな話を信用するんですか!?」

 信用しているのかはともかく、六道にこれからの事を聞く美神に驚きを隠せないでいる小竜姫。

「まーいいんじゃない。
 彼・・・六道クンって呼ばせてもらうわね。
 六道クンの話はどうだか知らないけど、六道クン自身は信用できるわよ。
 結局の所、六道クンは横島クン何だし、心配ないわよ」

「み、美神さん。
 そんなに俺の事を・・・・・美神さんあなたのお心は十分わかりました。
 ぼかーもー!!」

 美神の言葉を聞き、止まっていた体が再び動き出す。

 メキッ!!

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「だ・れ・が、横島クンだと言ったの!!
 私が言ったのは六道クンよ。
 横島クンと同じ、しかし横島クンとは違う。
 似ているが違うって奴かな。
 私の丁稚ではないようだけど、冥子がいる私達に敵意は無いんでしょ?
 なら安心よ。
 横島クンと違っていても、横島クンは女性を傷つける事はできない部分もあるし」

 美神の言葉におキヌ達が感動するが

「それに、六道クンは横島クンと違ってセクハラはしないようだし」

 皆コケル。

「は、ははっ・・・み、美神さん!?」

 おキヌの乾いた笑いが響く。

「ま、あとはどうでもいいわよ。
 私に敵対しないなら好きにしなさい」

「じゃあ、お言葉に甘えて自由に行動させていただきます」

 美神に対して礼を言う。

「後は・・・・・・小竜姫」

「なんです」

 小竜姫のみ、六道達を警戒している。

「不安があるなら、神界の上層部にでも聞いてみろ。
 今回の時間移動は、既に許可がおりているはずだ。
 上層部も数名戻ってきてるはずだし」

「えっ!!」

 微妙に固まっている小竜姫をよそに話を続ける。

「俺たちがいた場所でちょっとした事件があってな。
 それの御褒美って奴だよ」

 続きを聞き、少し考える。

「・・・・わかりました。
 今日の所はこのまま引き下がりましょう。
 あなた方のおかげで助かったのも事実ですし。
 あなたの言った事が、事実でなかった場合は最低でも捕らえさせていただきます」

「それは好きにしてくれ」

「では、私は妙神山へ帰ります」

 言葉とともにテレポートで事務所内から一瞬のうちにきえさる。

「う〜ん、とりあえず何処か住む所でも探しに行こうか?」

「パパ(はあと)、お仕事は如何するの?
 流石に無職はだ・め・だ・よ♪」

「あっ、私学校に行きたいからその手続きもしなきゃ」

「ひの姉が行くなら私も行くよ」

 小竜姫が帰った後は、六道親子+1名による周りを無視したプチ会議が開催された。

「仕事か・・・・GS免許はあるが、ここのじゃないから使えないよな。
 今日試験が終ったばかりだからすぐには無理だし。
 GS助手なら、問題ないな」

 六道のGS免許には、「六道忠夫」って書いてあるし・・・・・・。
 結婚する前に使っていた「横島忠夫」のGS免許を持ってくれば多分使えたのに・・・(笑

「ま、GSだけが仕事じゃないし、何とかなるか」

 キラン!!

「六道クン、仕事がないんだったら雇ってあげましょうか?
 時給300円で」

 横島よりは高いのだが、それでも安すぎ。

「・・・・・・美神さん。
 そこの横島ならまだしも、俺は嫌ですよ。
 そんな安給で働きたくありません。
 コンビニのバイトの方が儲かります」

 正論である。

「ちぃ」

 おいおい。

「仕方ないわね。
 なら―」

「―美神さんの助手だったらお断りします」

 先程よりは多少高い金額を言うつもりだった美神の言葉を遮る六道。

「なんで!?」

「GS助手をするなら別の所でやります。
 美神さんの所は、横島、おキヌちゃんの2人いるから大丈夫でしょ。
 もともと美神さんは強いんだし俺は必要ないでしょ。
 必要なのは、大量の荷物と、それを運べる横島」

「ま、それはそうね(けど六道クンがいれば楽に儲けれそうなのに)」

「ま、一応できそうな仕事が一つあるんでそちらに当たってみます」

「仕事って?」

「教師ですけど」

「「えっ、ええぇぇぇぇ!!!!」」

 一様に驚く。

「そんな驚く事もないでしょうに・・・・。
 確かに横島が教師だったら驚きますけど、俺とアレは違いますよ」

 未来の自分にアレ呼ばわりされてる横島って・・・・・。

「それに教師といっても俺がやってたのは、六道女学院霊能科特別講師ですけどね」

 微妙に暗くなっているのは気のせいだろうか、それとも、何かトラウマがあるのか?

「じゃあ〜、横島クンは〜、私のお家に遊びに来るの〜?」

 今までいたのだが、余り話を聞いてなかった冥子が話に加わる。
 他にもエミ、ピート、タイガー、唐巣などがいたりするが皆話を聞いているだけだ。

「少し違うけどね。
 俺の事は横島とかぶってるから下の名前で呼んで。
 あと、大体他の皆は横島と同じ呼び方だけど、君だけ違うんだよね。
 俺が呼んでいた呼び方でいいのか、横島と同じでいいのか、どっちが良い?」

 因みに、小竜姫は「さま」をとっただけ。

「そうね〜。
 じゃあ〜、忠夫ちゃん〜。
 私の事は〜、忠夫ちゃんが〜呼びやすいほうでいいわよ〜」

「じゃあ、冥って呼ぶよ。
 んじゃ、六道家に行こうか」

「じゃあ、私はママって呼んでいい?」

 !!!!

「ママ〜?
 恥ずかしいけど〜、蛍ちゃんが〜呼びやすいなら〜それでいいわよ〜」

 問題発言があったのだが、六道達と冥子は特に気にしていないようだ

「じゃあ、パパ、ママ、早く行こう♪」

 冥子の腕に抱きつく蛍。

「ひのめちゃんも行こうか」

「そーだね、お兄ちゃん♪(蛍ちゃん嬉しそうだね)」

 此方は六道の腕に抱きつく。

「美神さん、また後日あいさつに伺います」

 六道達は、事務所をあとにする。
 六道達が去った後の事務所内は・・・・

「め、冥子が・・・・ママ?」

「ま、負けた・・・」

 と、美神とエミが、ちと錯乱気味だったそうな。
 冥子が蛍の母親になるのは、六道のいた場所であって、美神たちがいるココではないのだが、女心という奴は難しいものである。
 願わくば・・・・・・・・・・横島が美神たちのストレス発散で死なない事を・・・・・・・(汗
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送