旧姓横島・極楽大作戦!!
四話


「ここが〜、私のお家よ〜」

 六道達の前には、冥子の自宅、六道家がみえるのだが、とりあえず広い。

「じゃあ〜、お母さまに〜、会いに行きましょう〜」

 冥子を先頭に進んでいく。

「あ〜、フミさんだ〜」

「お帰りなさいませ」

 六道家のメイド、フミに話しかける。

「フミさん〜、お母さまが〜何処にいるか〜しってる〜?」

「奥さまは、応接間でお客様の相手をなさってます」

「忠夫ちゃん〜、お母さまは〜お客さんと〜お話してるんだって〜」

「なら、どこかで待たせてもらってもいいかな?」

「私の〜お部屋で〜遊びましょう〜」

 六道の問いに即答えるが、待つ=遊ぶの解釈はどうだろう。

「あの、お嬢さま。
 其方のお連れさまが、忠夫さまでいらっしゃいますか?」

 !!!!

 フミの言葉に少しだけ警戒し、片手を軽く刀の柄に添える。

「そうよ〜、忠夫ちゃんは〜お母さまに用事があるの〜」

「ああ、俺が忠夫だ。
 あなたとは初対面だと思うが、どうして名前を?」

 冥子を自分の体で隠すように前にでて、フミに答える。
 六道達はフミの事を無論知っているのだが、ここでは初対面だ。

「奥さまが、忠夫さまがお嬢さまと一緒に来てるはずだから応接間にお連れしろとのことなので」

「そうか。
 改めて名乗らせてもらう、俺が忠夫だ」

「あっ、私は蛍!!」

「ひのめ、宜しくねフミさん」

 六道が名乗ると、娘とその親友も名乗る。

「はい、宜しくお願いしますね。
 私は六道家に仕えるメイドの、フミと申します」




「忠夫ちゃん〜、もうそこよ〜」

 六道家は無駄に広いというか、フミと会った場所から数分間は歩いていた。
 目的地が近いのか、冥子は少し歩く速度を速める。

「お嬢さま、お待ちください」

 フミが追いかけ

「うふふ〜、パパ(はあと)」

「お兄ちゃん(はあと)」

 蛍とひのめは、六道の腕に抱きつき

「何故、俺の事を?
 横島でなく忠夫と・・・・・」

 六道のみ悩んでいた。

「きゃ〜〜、お母さまが〜〜!!」

 先に行っていた冥子の、力が抜けそうな悲鳴が響く。

 !!!!

「冥っ!!」

 『転』『移』

 走っても数秒位しか時間差は無いが、文珠を使い冥子の傍に転移する。

「どうした!!」

 冥子に怪我が無いか軽く確認しつつ周りを警戒する。
 六道の右手には刀、左手には文珠が握られている。
 蛍とひのめは、冥子の左右をかためている。

「お母さまが〜、お母さまが〜」

 ガチャ

 冥子が何か言おうとするが、それより早くドアが開く。

「あら〜、おかえり〜」

「蛍ちゃんにひのめちゃんもおかえりなさい〜」

 ????

 ドアから同じ声が2つ、同じ顔が2つ、因みに服装も同じ。
 第48代六道家当主で冥子の母親が2人出てきた・・・・・・2人?

「へっ!?」

「えっ!?」

「おばあちゃんが・・・・・・・2人?」

 全く予想ができてなかった為、固まってしまう3人。
 六道家の式神、12神将の1つ、変身能力を持つマコラの仕業ではないことは確かだ。
 冥子が驚いている、何より六道達にはマコラが変身しても霊気の違いで本物と偽物の区別がつく。
 目の前にいる2人は霊気も同じ・・・・・完全に同じ人間なのだ。
 つーか、マコラは人語を話せないはず。

「あらあら〜、忠夫ちゃんも固まって〜」

「この子が私の息子なの〜」

「そうよ〜。
 で〜、こっちが孫の蛍ちゃん〜。
 あっちが〜、美智恵の娘のひのめちゃんよ〜」

「よろしくね〜、蛍ちゃんにひのめちゃん〜」

「え、えぇ〜」

「は、はぁ〜」

 全く同じ2人に迫られ、思考が纏まらない蛍とひのめ。

「忠夫ちゃん〜、お母さまが〜2人いるの〜」

 1人だけ、周りについていってない冥子。

「あの〜、つかぬ事をお聞きしますが、何で2人いるんですか?」

 冥子の母親は苦手なのか、下手にでて尋ねる六道。

「忠夫ちゃん〜、私の事は〜お義母さまって呼んでって言ってるのに〜」

「私の事も〜お義母さまって呼んでもいいわよ〜」

 六道の義母→六道がいた場所の冥子の母親。
 目の前にいる冥子の母親→お義母さまと呼ぶ→六道にとっての義母は、六道がいた場所の冥子の母親。
 六道の義母=目の前にいる冥子の母親。

 ????

「って、ええぇぇぇぇぇ!!
 ま、まさか・・・・・お、お義母さん!?」

 ガタガタ震えながら、目の前にいる義母かもしれない女性に聞き返す。
 六道にとっての鬼門はこの人かな?

「そうよ〜。
 私があなたのお義母さまよ〜」

「で〜、私が冥子のお母さまよ〜」

 と、六道女史(未)・六道女史(現)が答える。
 ノリは冥子と同じなのだが、何かが違う。

「な、何故、ここに?」

「ただ〜、自分が犠牲になればいいと思ってる〜不出来な息子に〜会いに来ただけよ〜」

 ビクッ!!

「犠牲って・・・・・・俺はいない方がいいんですよ。
 俺がいたから冥達が狙われたんです」

「でも〜、忠夫ちゃんが〜冥子を守るんでしょ〜」

 本気で黒アキト化してる六道の言葉を軽く流す。

「ええ、冥は守りますよ。
 だから、俺はここに来たんです。
 ここなら、俺が狙われる心配はない。
 もし何かあったときも、神族・魔族の上層部も数人戻ってきてますし、俺を怒らせる事はしないでしょう」

 六道を怒らせる、例えば六道が守りたいと思っている者達を狙う事。
 六道がいた場所で、冥子達が狙われた事があった。
 その時は、実行犯及び、命令を下した神族・魔族の上層部まで、関係者全てが六道個人により粛正された。
 その関係者には、人間も多少含まれていたが、その人間も同じ様に粛正された。
 六道の力は人間の限界を遥かに超え、神族・魔族の軍隊等と一人で戦えるほど成長している。

「それなら〜、別にここに来なくても〜大丈夫でしょう〜。
 あっちの上層部達も〜忠夫ちゃんに〜ちょっかいはかけないって〜言ってたし〜」

「まあ、上層部達は何もしないでしょう。
 神族・魔族が何もしなくても、人間が残ってます。
 俺の事を利用しようとする馬鹿どもは、数えきれないほどいますよ。
 それに、人間が相手だったら、冥達も躊躇しますし、何より人殺しにはなって欲しくなりません。
 同族殺しは、俺だけで十分です」

「じゃあ〜、冥子に言った言葉は〜嘘なの〜?
 冥子を〜、娘を守るって言ったのは〜嘘なのかな〜忠夫ちゃん〜
 お義母さまは〜、悲しいわ〜」

 六道は自分の思いを伝えるが、全く効果は無く。
 逆に追いつめられそうだ。

「うっ・・・・・。
 そ、それより、お義母さんは、どうやってここに来たんですか?
 あと、どうして俺達の事を覚えているんですか?」

「そうね〜、小竜姫さまに〜お願いしたの〜。
 忠夫ちゃんの所に〜送ってもらえるよう〜」

(・・・・・脅迫の間違いじゃないんですか?)

 心の中でツッコミを入れる。
 流石の六道でも口にだして言う勇気は皆無だ。

「あと〜、忠夫ちゃんの考えてる事は〜知ってたから無理よ〜」

 と、『忘』の文字が込められている文珠を取りだす。
 その文珠は、六道達がここに来る前に使った文珠の1つだ。
 自分達の存在を忘れさせる為に自分の関係者全てに使用したはずだ、六道女史(未)には見破られていたが・・・・。
 関係者以外には、神族・魔族が協力して、六道忠夫がいた記録を全て抹消している。
 六道がいた場所には、何処にも六道の居場所は残っていない。
 関係者に対して六道の文珠を使用したのは、「せめて、自分の知り合いは、自分の力を使いたい・・・・・只の我侭だよ」との事。

「で、目的はなんですか?」

「ん〜と〜、もう一人の私と〜話をして決めた事があるの〜」

 六道が少し嫌な顔をするが、とりあえず無視している。

「こっちの冥子を〜お嫁さんに〜貰いなさい〜」

「はぁ!?」

 ・・・・・
 ・・・
 ・

「なに言ってんですか!?
 こっちの冥とは今日あったばかりですよ!!
 それに、何で命令形なんですか?」

「だって〜」

「ねぇ〜」

「フミさんのいれたお茶〜美味しい〜」

「それ賛成♪」

「お兄ちゃんと一緒になるのは私なのに・・・・・・・・」

 叫ぶ六道、不思議がる六道女史×2、話についていってない冥子、祖母の言葉に賛成な娘に六道を狙っていた娘の親友。

「冥も何とか言ってくれ!!」

「ん〜?
 忠夫ちゃんどうしたの〜お腹痛いの〜?」

 駄目だこりゃ・・・・・。

「パパ、ママの事嫌いなの?」

 嫌いじゃないと思うけどな。

「そ〜よ〜。
 蛍ちゃんも〜賛成なのよ〜」

「なにか〜不満が〜あるの〜?」

 娘さんの確認をとらずに話を進める六道女史×2。

「冥の気持ちは無視して良いんですか!?」

(そーよ、お兄ちゃんは私のお婿さんになるのよ)

 正論を解く六道に、疚しい事を考えてるひのめ。

「大丈夫よ〜冥子も〜忠夫ちゃんの事を嫌ってないし〜」

「冥子〜、忠夫ちゃんの事好き〜?」

「忠夫ちゃん〜?
 令子ちゃんと〜同じくらい〜一緒にいると〜嬉しい〜」

 恋愛に対しての感情が、いまだ未発達な部分があるようだ。

「ほ〜ら〜、冥子も嬉しいて〜」

「嬉しい=好き、だとは限りませんよ。
 まあ、嫌われてはいないようでしょうが・・・・」

 冥子に嬉しいと言われ、少しだけだが頬が緩んでいる。

「我侭ね〜」

「なにが気に入らないのかしら〜」

(あなた方の考えです)

 口にはだしてないが、一応ツッコミをいれておく。
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送