旧姓横島・極楽大作戦!!
六話


 雨。
 雨が降っている。
 ・・・・・・雨って言うより、嵐だけどね。

「おキヌちゃん、なんか仕事ある?」

 全くやる気の無い声で尋ねているのは、美神除霊事務所所長、美神令子。

「公園に出るワニの幽霊ってのがありますけど・・・・どうします?」

 答えるのは日給30円で雇われている幽霊、おキヌ。

「やーよ、私は。
 こんな雨の日に、外なんてでてられないわ」

 と、答えたのは―

「―で、誰のモノマネかしら?」

 美神ではなく。

「ええっ!!
 行く気ですか?」

 丁稚の横島忠夫。

「キャンセルよ、キャンセル!!」

「やっぱり・・・・・」

「だーって、雨って濡れるのよ!!
 だから、嫌いよ」

 我侭だ・・・・・。

(・・・・・一度親の顔が見てーよ)

 と、口にださないのは、無論命が惜しいから。

 ドガァァァァァァァァァァァァァ!!

 突然の轟音、そして衝撃。

 !!!!

「落雷・・・・!?」

 近くに落ちたようなので野次馬根性?で外に出る。

「ああーもう、いったいぜんたい・・・」

 雷が落ちたと思われる場所に人影が見える。
 子供を抱えた一人の女性。

「なっ!!
 マ―」

「―嵐が去ってしまう!!
 詳しい事を説明してる時間はありません。
 この子を、娘を暫くお願いします!!」

 そう言って、抱いている子供を美神に渡す。

「み、美神さん!?」

「なっ、何がどうなってるんっスか!?」

 子供、れーこちゃんに驚く二人。

「お願い!!
 この子を護る為には、今はこれしかないの!!」

「ちょっ・・・・ちょっと待って!!
 訳を、訳を聞か―」

 ―ドグヮァァァァァァ!!

 雷の直撃。
 そして消える人影。

「か、雷の・・・・直撃!?」

「しかも、消えた!!」

 驚く二人に

「マ、ママ・・・・」

 呟く美神。

「「ええっ!!」」

 再度驚く二人組み。




「タイム・ポーテーション、時間移動よ。
 それしか、考えつかない!!」

 れーこを連れ、美神達は事務所内に戻り先ほどの出来事について話し合っていた。

「時間移動って言うとアレですか?
 漫画とかである・・・・」

「ええ、それよ。
 ママは、時間移動能力者だったのね・・・・知らなかったわ。
 私の知ってるママは、腕のいいGSだったの。
 何か、危険な敵に狙われて・・・・・・子供の私、れーこを護る為に未来に来たのね」

「腕のいいGS・・・」

「・・・だった?」

 美神の言葉に疑問をもつ。

「ええ、私が中学生の時に亡くなったの」

 ・・・・・・・

「美神さん、えーと、あの、死ぬ事はちっとも・・・・・だから、そのー・・・・あの・・・・・くっ・・」

 泣き出すおキヌ。

「ううううう・・・・・」

「いいのよ、おキヌちゃん。
 ありがと。」

 一体、どちらがどちらを慰めてるんだか・・・・。

「でも、何でママにあんな能力があるのか、私も初耳よ。
 詳しく話を聞きたかったけど・・・・・」

「んっ・・・・」

 話し声で目が覚めるれーこ。
 しかし、美神達は気がついてない。

「ママは・・・・ママは何処・・・・」

 辺りを探すが、れーこのママは見つからない。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 !!!!!!!!!!!!

 れーこが泣き出した事で、やっと気がつく美神達。

「れーこちゃん、あのね、ちょっとお姉ちゃんの話を―」

「―ママ!?
 ママーーッ!?
 ママ、何処なのーーーーッ!?」

 泣く子は強い、あの美神さえも黙らせてしまった。




「あー、やっと泣き止んでくれた」

「ぜーっ、ぜーっ・・・・・・」

「あ、あれが私になるなんて・・・・・。
 世の中、科学だけじゃ説明できない事ばかりだわ・・・・」

 お疲れの美神&横島。

「だから、ほんの暫く我慢してね。
 いい子にしてたら、ママはすぐお迎えに来てくれるからね」

「ぐしゅ・・・ぐしゅ・・・・。
 れーこ、ママが来ゆまで、待ってゆ・・・」

 何とか泣き止む事に成功している。

「えらいわ、れーこちゃんてえらいのね」

「・・・・・!!
 うん!
 れーこ、ママの子だもん!!
 強くてかっこいい、ごーすとすいーぱーになゆの・・・・」

 褒められたのが嬉しいのか、涙が溜まっているものの笑顔を向ける。

「「・・・・・・!!!!!」」

「流石私だわ!!
 こーんな、子供の時から・・・・かわいいっ!!」

 と、れーこを抱きしめる美神。
 さっきの台詞は如何した、台詞は。

「かわいいっ!!
 ・・・・・・み、美神さんと同一人物とは思えんかわいさだ!!」

 美神とは内容は違うが、感動しているようだ・・・・泣いてるし。

「・・・・・・」

 変わり身の早さに驚いているおキヌ。

「で、いつ迎えが来るのか?
 それまでこの子の面倒をみなきゃね」

「いつって・・・・自分の事でしょ、美神さん。
 覚えてないんですか?」

「・・・・そ、それが全然」

「・・・・・・・・」

「あっ!!」

「ど、どうしたんっスか?
 いきなり・・・・」

「私が知らなくても、六道クンが知ってるわ!!
 未来から来たなら、いつママが来るのかも知ってるはずよ!!」

「流石美神さん!!」

「つー事で、呼び出して!!
 今すぐ!!」

 ・・・・・・・・・・

「「えっ・・・・!!」」

「今すぐっスか?」

「もう夜ですよ・・・・・・」

 横島&おキヌが美神に申し立てるが

「・・・・・・何か問題ある?」

 ・・・・・・ビクッ!!

「い、いえっ!!
 何も問題ありません!!」

「す、すぐ電話します!!」

 美神から何かを感じたのか、素直に従う二人。




「で、こんな時間に俺を呼んだんですね」

 美神の命令で急遽参上した六道。
 蛍とひのめは、来てない。
 れーこは寝ている。

「ええ、六道クンならママがいつ迎えに来るか知ってると思って」

 少し考え始める六道。

「俺のいた場所の事なら覚えてますが、言えませんね」

「言えない?(私の丁稚の癖に何言ってんの!!)」

 六道は、ここの美神の丁稚ではない気がするのだが・・・・。

 ・・・・・・・ビクッ!!

「な、何だか体が・・・・・」

 ガクガクガクガク・・・・・

「よ、横島さ〜ん(泣)」

 横島とおキヌはまた震えだした。

「ええ、ここは俺が知っている過去とは違う方向に進んでいます。
 俺達がここに来た時点で、俺が知っている過去とは違ってるんですよ」

「あなたの知っている過去と違うのなら、何であなたは無事なの?」

「それは・・・・」

 05話の説明を美神達に聞かせる。
 説明といっても、六道が横島を斬っても大丈夫、って事を中心に・・・・・・。
 横島は少々汗をかいているようだが、特に問題はないだろう。

「・・・・・平行世界だなんて、よくやるわね」

「まっ、そういう事でして。
 なぜ教えないのかは、余計な情報は混乱の元です。
 それに、これから先も俺の知っている過去とは違ってきます」

「つまり、自分の目でみて、何が敵で、何が敵でないのか、自分で決めろって事ね」
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