旧姓横島・極楽大作戦!!
八話


「と、言う事で。
 今から授業を始める」

 ホワイトボードを何処からか持ってきて、眼鏡を掛けた六道の姿が見うけられる。

「はーい♪」

 喜ぶれーこ。

「授業・・・・ですか?」

 何をするんだろうと思っているおキヌ。

「いきなりだな?」

 乗り気でない横島。

「今回、特別授業をする理由は、横島。
 お前の霊気の使い方についてだ」

「俺っ!?」

 素っ頓狂な声をあげる。

「そうだ。
 GS見習いには、なっただろうが、自分の力を全く知らないんだろ?」

「俺の力?」

「ああ、その事について少し教えといてやる。
 何もないより、あったほうがいいだろ」

 自分の手を見つめている横島。

「おにーちゃん!!
 れーこは?」

 横島ばっかりに構ってるのが(れーこ的に)、嫌なようだ。

「れーこちゃんゴメンネ。
 今回の授業は横島用だからね。
 かわりに授業の間、肩車しててあげるから」

「いいの?」

「せめてこれくらいはね」

「わーい♪」

 れーこを抱き上げ、自分の肩に乗せる。
 決して、柔道の肩車では無い。

「続きだ。
 一応、冥からこの前の試験の事は聞いている。
 俺の時とあまり変わってない。
 つまり、サイキック・ソーサーは使えるんだろ?」

「ああ」

「なら、これも使えるはずだ・・・・・・・・たぶん(ぼそっ)」

 最後の方は、横島に聞えない程度の大きさで話す。
 横島に見えるよう、栄光の手“ハンズ・オブ・グローリー”を作る。

「そ・・・・・それは?」

「栄光の手・・・・ハンズ・オブ・グローリーだ」

「それが俺の力?」

「可能性はある」

「どういう事だ?」

「お前の特性は、霊気を凝縮させる事。
 これは、結果の一つだ(もう一つが文珠だがな)」

「凝縮?」

「ああ、雪之丞たちの魔装術は覚えてるよな。
 あれは、霊力を物質化させたものだ。
 これは、物質化はせずに、霊力のまま留めている。
 霊力には、形が存在していないので、この様に、自由に形を変える事が出来る」

 ハンズ・オブ・グローリーを、篭手から霊波刀に変えてみせる。

「おおーーっ!!
 すっげぇぇぇ!!
 貧弱な坊やだった俺にも、ついにヒーローへの道を歩みだすのか?」

 横島・・・・・お前も十分に病んでるよ。

「ヒーローかどうかは別として、一応覚えておけ。
 今すぐには使えないかも知れないが、覚えておくだけでいい」

「えっ・・・・・覚えておくだけ?」

「ああ。
 まずは、サイキック・ソーサーを自由に使えるようになれ!!
 それができない事には、先に進めないぞ」

「先って・・・・・・まだ何かあるの?」

 何か凄い必殺技があるのを期待している。

「直接お前を鍛えるって事くらいかな」

「えっ!?」

「安心しろ、蛍とひのめ、二人と一緒に鍛えてやる」

 横島ようの餌をちらつかせる。

「やります(一秒)」

 あっさり引っかかる。
 自分の娘を餌に使うあたりに問題があると思うが、こうでもしないと横島は参加しないだろう。

「横島、サイキック・ソーサーを作ってみろ」

「お、おう!!」




「てりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!
 スペシャル・ファイヤー・サンダー・ヨコシマ・サイキック・ソーサー!!」

 ・・・・・ポンッ!!

 ・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・で?」

「え〜っと、その〜〜〜〜」

 通算42戦42敗・・・・。

「もっと、まじめにやれ!!
 よこちま!!
 おにーちゃんに、めーわくかけるな!!」

 六道に肩車されているれーこちゃんから、横島に対して言葉が飛ぶ。

「れーこちゃん落ち着いて・・・・」

 れーこを宥めようとするおキヌ。

「横島、大切なのはイメージだ。
 霊気という形無きものを扱うには、確固たるイメージが必要になってくる。
 それはわかるな?」

「・・・・・・・・・なんとなく」

「サイキック・ソーサーは盾だ。
 盾をイメージしろ!!」

「盾っつてもな・・・・。
 本物見た事ないからわからんぞ」

 御尤も。
 本物の盾を見たことある人のほうが少ないだろう。

「・・・・・ならこれでいいだろう」

 ブォン・・・・

 六道が、見本とばかりに作りだしたサイキック・ソーサーは、GS試験で横島が使っていた六角形の形ではなく、完全な円形だ。
 しかも、平面ではなく、僅かにだが丸い感じがする。

「俺のと違う・・・・・」

「そりゃーそうだろ。
 GS試験の時は、ただ霊力を一点に集中しただけだからな。
 これは霊力を一点に集中した後、自分の持っているイメージを反映させただけだ。
 これだけでも普通にサイキック・ソーサーを作るより苦労する」

「GS試験で使ってた形じゃ駄目なのか?」

 横島の疑問には・・・・・疑問って言うか、わざわざ面倒な作業しなくても、使えればいいじゃないか、と思っていたりする。

「まあ、駄目ってことはないな」

「なら―」

「―あれでは弾く事はできても、受け流す事はできない。
 それに、こちらの方がイメージを反映させた分、強力だ」

 横島が言葉を発する前に、六道が続きを言う。

「まあ、それを決めるのはお前だがな・・・・。
 とりあえず」

 サイキック・ソーサーを六角形に作り直す。

「こっちを作ってみろ。
 こちらの方は、一度作ったことがあるからすぐにできると思うぞ」

「でろ・・・・でろ・・・・でろ・・・・でろ・・・・」

 六道のサイキック・ソーサーを見ながら掌に霊力を集めていく。

「今一度、我に力を!!
 ウルトラ・デラックス・ロイヤル・メガトン・グレート・スーパーヨコシマ・サイキック・ソーサーぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 キュィィィィィィィン!!

「で・・・・・でた」

 これで、通算43戦1勝42敗。
 まあ、終わり良ければすべて良し。

 シュゥゥゥゥ・・・・

「気を抜くな、集中しろ!!」

「お、おう!!」

 サイキック・ソーサーが出たために気が抜けたのか、消えそうになるのだが、六道の言葉により、再び集中しなおす。

「横島さん、凄いです!!」

 まるで自分の事のように喜んでいるおキヌ。

「きゃははっ!!
 がんばれーよこちま!!」

 何とか成功した横島を励ましているれーこ。

「横島」

「ん?」

「次は、ソーサーを軽く浮かせてみろ」

「浮かす?」

「こんな感じだ」

 六道の掌にあったサイキック・ソーサーが、少しづつ上昇していく。

「わぁぁぁぁ!!」

 れーこと同じ高さ位で止まった。

「横島、GS試験の時には、ただ投げていただけだろ?」

「ああ」

「ソーサーを少しづつでいいから、自分でコントロール出来るようになれ。
 コントロールできるなら、わざわざ振りかぶる必要がなくなる。
 相手に見えないよう、攻撃も出来る。
 例え外れたとしても、雪之丞がやったようにソーサーを曲げて相手に当てればいいんだ」

「浮け、浮け、浮け、浮け・・・・・」

 横島の言葉に呼応したのか、少しづつだが上昇してきている。
 ただ、浮かび上がっているが、ソーサーの形が少し歪んできている。

「横島、浮び上がらせるだけでなく、形も整えろ!!」

 六道の声が響く。

「形を整えて・・・・浮かして・・・・整えて・・・浮かして・・・・」

 歪みが直ったのはいいのだが、上昇スピードが遅くなった。

「そうだ。
 少しづつで良いから、手を抜くな!!」

 数分後。
 やっとの事で、六道と同じくらいの高さまで浮かすことが出来た。

「で・・・・・・できた・・・・・」

 横島の顔には大量の汗が流れていた。

「こ、こんなに・・・・大変なのか?」

 横島の疑問には

「ん?
 最初が肝心だから、今回は特別に、霊気の扱いを難しくなるようにした。
 普通は、これの数倍は楽だぞ」

 と、爽やかに答えてくれた。
 六道が何をやったかというと、横島のソーサーに外部から干渉したのだ。

「ま、出来た事だし、特別に、ご褒美をあげよう」

 キュピーン!!

「で、何をくれるんだ!!(0.7秒)」

 反応が早い。

「手をだしてみろ」

「ん?
 こうか?」

 言われるまま、手をつきだす。
 六道は、横島の隣に立ち、横島の手の上に、自らの手を乗せる。

「ハンズ・オブ・グローリー・・・・・・」

 ポワッ・・・

「「ええっ!!」」

 横島の手にハンズ・オブ・グローリーが現れた。
 それを見て、横島・おキヌは驚く。

「・・・・こ、これは?」

「今回のご褒美だ。
 それは俺が作っているから、お前の思い通りにはならないが、感覚だけでも掴んでおけ」

「ああ・・・・」

 自分の手に現れたハンズ・オブ・グローリーを、まじまじと見はじめる。

「で、今回の授業は終了。
 あと横島、お前の期待しているような必殺技は、自分で考えて、自分で使えるようになれ」

「えっ!?
 できるのか?」

「それはお前しだいだ・・・・・」
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送