旧姓横島・極楽大作戦!!
十一話


「よこちま〜、えほんよめ!」

 れーこちゃんは、大変暇なようで、先程から動き回っている。

「はいはい」

 横島は、れーこちゃんに言われるまま、絵本を読み始める。
 一方美神は

「ママ、それでね・・・・・・」

「はいはい」

 美智恵に愚痴をこぼしているようだ。
 美智恵とれーこは、れーこの我侭(六道と離れたくない)により、今だこの時代に残っている。
 次のチャンスが来るまでの間、美神と一緒に暮らすつもりだ。
 今、この事務所内は平和である。

 ドドドドドドドドド・・・・・・・・

「ん?」

 ドンッ!!

 ドアが勢いよく開け放たれた。

「令子ちゃん〜!!
 お願い〜助けて〜!!
 私〜追われてるの〜かくまってよ〜!」

「冥子!?」

 現れた人物は、かなり意外だったようで、目を見開いて驚いている。

「追われてるってどういう事?
 悪霊、妖怪?
 六道クンはどうしたの?」

「違うの〜もっと恐いの〜!!
 忠夫ちゃんは〜、蛍ちゃんたちと遊園地に行ってるの〜」

「おにーちゃんとゆーえんち、れーこもいく!」

「はいはい、今度連れて行ってもらいなさい」

「うん♪」

「で、冥子。
 メドーサクラスの化け物か悪魔なの?
 助っ人代は高いわよ!!」

 ・・・・・・・・・・

「お母さまなの〜」

 ズドッ!

 意外過ぎる答えに、こけてしまう。

「あ、あんたね・・・・。
 温厚な私も、しまいにゃキレるわよ・・・・・!?」

 温厚・・・・・誰が?

「令子ちゃん〜、怒らないで〜。
 私は今、人生最大の危機を迎えてるって言うのに〜!」

 暴走しないようだが、泣きが入ってる。

「冥子ちゃん、如何したの?」

 普段なら、「俺がその悩みを見事解決しますので、先のお礼を!!」って感じで襲いかかるのだが、六道が恐いので冥子にはなるべく控えようと心に誓ったNew横島の姿が・・・・・。

「これを見てよ〜」

 と、六道じゃない男の写真を見せる。

 !!!!

「こ、これは・・・・・・見合い写真?」

 六道は?と、一応ツッコミを入れておく、口にはだしてないが。

「いややー!!
 相手が奴じゃないなら、冥子ちゃんの最初の男になるんは俺やぁぁぁぁ!!」

 奴、六道なら諦めれるってのは、無論命は大切だから。

 ガンッ!!

「黙れっ!!」

 まあ、何時も通り、美神が迎撃する。

「それは見合い写真じゃないのよ〜。
 冥子は〜忠夫ちゃんがいるから〜見合いする必要はないのよ〜」

 ビクッ!!

「お、お母さま・・・・・」

 冥子が入ってきたドアから、次は六道女史が入ってくる。
 何気に、娘の未来を決めつける発言があったが、ツッコミを入れる勇気のあるものはいない。

「それは〜、果し合い写真なの〜」

 ・・・・・・・・・・

「冥子〜、それで隠れたつもりなの〜」

 正に頭隠して尻隠さず・・・・・・って、隠れてない、隠れてないよ。
 ただ丸くなってるだけ・・・・。

「ゆ、ゆるして〜お母さま〜!!」

「おばさま、果し合いって?」

「式神使いの一族に伝わる、ふる〜いしきたりなのよ〜」

「へぇ〜・・・・」

 令子との話が終わるのを見計らって、美智恵が話しかける。

「先生、お久しぶりです」

 美智恵も美神と同じ様に、六道女学院出身で、美智恵は六道女史の元教え子だ。

「ああ〜、美智恵ちゃん〜お久しぶりね〜。
 大体の事情は〜忠夫ちゃんに聞いてるわ〜。
 例え美智恵ちゃんのお願いでも〜忠夫ちゃんはあげないわよ〜(令子ちゃんでも無理よ〜)」

「先生、何言ってらっしゃるんですか。
 家のれーこは、まだ子供ですよ(れーこが駄目でも、令子がいますよ)」

 くぎをさす六道女史も女史だが、美智恵も侮れない。

「そ〜よね〜(忠夫ちゃんは〜冥子一筋よ〜)」

「そうですよ(既成事実を作ってしまえばいいだけですよ)」

「「ふふふふふふふふっ・・・・・・」」

 子供の気持ちを無視してる親達。
 冥子のほうは、特に問題ない気もするが、令子は問題だろう。

「み、美神さん・・・・・!!」

「気にしちゃ駄目よ、気にしちゃ・・・・・」




 で、六道家に移動した人達。

「鬼道正樹です。
 よろしゅうお願いします」

 先程冥子が持っていた、果し合い写真に載っていた相手だ。

「あっ、あの〜ここは若い人達にまかせて、私は退散を〜」

 この場から逃げ出したいようだ。

「まあまあね」

「あいつ馬鹿じゃね―のか?
 冥子ちゃんに喧嘩売るなんて、死ぬ気か?」

「まあ、冥子に喧嘩売るのは馬鹿げた事だとは思うけど、死にはしないわよ」

 横島の呟きに答える。

(違いますよ、美神さん。
 冥子ちゃんのプッツンだったら怪我程度でしょうけど・・・・・・六道の事忘れてますよ。
 蛍ちゃんとひのめちゃんは、絶対に冥子ちゃんを怪我させは駄目って言ってたけど、どうなるんだ?
 ただじゃすまないと思うけど・・・・・)

 六道に刀つきつけられた事を思い出したのか、顔をしかめている。
 蛍とひのめから多少話をして、いろいろ聞いてはいるのだが、冥子を怪我させたらどうなるのかは聞いていない。
 聞いた時、蛍とひのめ、2人そろって顔を青くし「イヤ・・・・イヤ・・・イヤ・・、にげてー!にげてー!」っていきなり叫びだしたのだ。
 何か酷いトラウマがあるのだろう。
 それを見た横島は思った「冥子ちゃんに怪我させたら、奴に殺されるんじゃ?」と。

「出て来い、夜叉丸!!」

 鬼道の影から、鬼道家の式神、夜叉丸が出てくる。
 六道家の12神将と違い、人型だ。

「さて、掟は御存知でっしゃろな」

「ええ〜、<戦いに負ければ、自分の式神を相手にさしだす>って奴ね〜。
 鬼道ちゃんも暇ね〜。
 家のコが負けるわけないのに〜」

 家のコとは、冥子ではなく、式神の方だ。
 だから、子ではなく、コだ。

「お、お母さま〜!!」

 冥子は、「そんな事聞いてないよ!!」といった雰囲気だ。
 ・・・・・・式神使いの一族なのに、掟知らなくていいの?

「大丈夫よ〜。
 鬼道家って、平安時代から続いている家系なんだけど〜没落に没落をかさねちゃって〜今じゃ単なるザコ式神使いの一族よ〜」

 グサッ!!

「ぐはっ・・・!!」

 六道女史の言葉でダメージをうけた鬼道父。

「くっくくくくく・・・・・・。
 しかーし、それも昨日まで!!
 わしのせがれが、六道家の式神を全てもらいうける!!
 再び鬼道家の栄華をとりもどす!!
 その為に、鬼のように厳しい修行を今までさせてきたんや!!」

 何かを夢みて復活するが

「あっ、そ〜か〜。
 私が鬼道ちゃんの求婚断ったの、今でも根に持ってるのね〜。
 それとも、事業に失敗した時、お金貸してあげなかったから〜?
 しかも、その原因が主人の会社だったから〜?」

 グサグサ・・・・

 また撃沈する。

「私ね〜昔から鬼道ちゃんのシツコイとこ、嫌いなのよね〜」

 ドンッ!!

「あっ、じーさんがたおれた!!」

「なっさけないなー」

「逆恨みか?」

「かわいそう・・・・」

(どうやって六道クンを手にいれようかしら・・・・)

 上かられーこ、美神、横島、おキヌ、美智恵だ。
 最後の一人だけ、違う事考えてたりする。

「やかましいわっ!!
 外野は黙っとれ!!」

 泣いちゃ駄目だよ、鬼道父。

「ね〜、やめましょうよ〜。
 式神は〜ビー玉やメンコじゃないのよ〜。
 そんな、ホイホイ他人にあげちゃだめなのよ〜。
 だから〜やめようよ〜」

 逃げれないとわかったので、次は説得に挑戦する。

「欲しいんや・・・・」

「えっ?」

「欲しいんや、そいつが!!
 夜叉丸、お前も兄弟が欲しいんやろ?」

 ・・・・・ニヤリ。

「さあ、行け夜叉丸!!」

 ビユッ!!

「きゃ・・・・・・」

 冥子に襲いかかる夜叉丸。

 キィン!!

「ア、アンチラ!?」

「フゥゥゥゥゥッ!!」

 主人の危機に反応したのか、呼び出してもいないアンチラが、勝手に飛び出し、夜叉丸を退ける。

「式神のほうはやる気らしいね。
 ほな始めよか・・・・・夜叉丸」

「助けてよ〜令子ちゃん〜!!」

 説得も失敗、次は外野に頼る。

「ん?
 そんな奴やっちゃいなさいよ!!」

「おねえちゃん、れーこもせんべいたべるの!!」

 ・・・・・・助力は期待できそうにない。
 ってか、見学席でせんべい食ってるし。

「いてこませ、正樹!!」

「オーケー、父さん!!」

 何故か余裕っぽい挑戦者、鬼道チーム。

「冥子〜、本気でやりなさいよ〜!!」

「お、お母さま〜・・・・・。
 誰が助けてよ〜」

 式神は強いが、使い手が逃げ腰の六道チーム。
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