旧姓横島・極楽大作戦!!
十六話


「ふえっ!?
 ちょっと、一体どういう事ですか!!」

 美神は、電話の相手に対し、多少声をあげる。

「・・・・・・・・・・ええ、わかりました」

 ガチャ

「美神さん、どうしたんですか?」

「あ〜、先生よ、唐巣先生。
 何でも泥棒に入られたんだって。
 んで、ちょっと不審な点があるから手伝って、って事」

「へェ〜・・・・って、大変じゃないですか!!」

「はいはい、わかってるって」

 ちょっとだけ興奮気味のおキヌをなだめる美神。

「けど、何であんなド貧乏な教会に泥棒が入ったんだろ?
 金目の物といったら、ステンドガラスくらいかな?
 でも、あそこの教会のステンドガラスは小さいしな・・・・・。
 う〜ん・・・・・・・」

 教会が襲われた理由を考えているのか、教会内の金目の物を思い浮かべているのか、全くわからなくなってきた。

「おキヌちゃんは何か思いついた?」

「いえ・・・・特に、何も無かったと思いますけど」

 キュィィィィン!!

「んっ!?」

 美神とおキヌしかいなかった事務所に、六道が現れた。

「おはよう、ございます、美神さん。
 おキヌちゃんも、おはよう」

 六道スマイル発動!!

「「・・・・・・・・はうっ」」

 冥子ちゃんの手料理から逃げれて嬉しいのか、何時もより威力が微妙に高い。
 しかも、何処か嬉しそう・・・・・・。

「何の話してたんです?」

「えっ!!
 あ、ああ・・・・先生の教会に泥棒が入ったって話」

「唐巣神父の?」

「そっ、唐巣先生」

(元始風水盤・・・・か。
 雪が美神さん達を巻き込んだんだよな。
 かっこつけて現れたのに、空腹で倒れるんだよな・・・・・)

「六道クン、横島クンは?
 先生の所に行って、手伝わなきゃいけないのよ」

 ビクッ!!

「んっ!?
 どうしたの」

「美神さん!!」

「えっ・・・いや、その(ちょっと、前にも言ったような気がするけど、六道クンって本当に横島君なの!?あの笑顔も反則だけど、マジメな顔も反則よ!!)」

 六道のマジメな顔にツッコミ?を入れている美神だが、心の叫びなので、とりあえず無視しておこう。

「美神さん、あなたの知っている横島忠夫は死んだ」

「はぁっ!?」

「彼は・・・・・いや、彼らは俺の代わりに死んでしまったんだ」

「うっ、嘘ですよね!!」

 横島が死んだと聞かされ、六道に詰め寄るおキヌ。
 六道は、首を横に振るだけ。

「どういう事、ちゃんと説明してくれない?」

 ・・・・・・・
 ・・・・・
 ・・・
 ・

「冥が・・・・・何かを作ったようだ」

「えっ!!」

「へっ!?」

 驚く美神と、意味がわからないおキヌ。

「あいつらには悪いが、特訓中に与えたダメージが回復してない内に俺だけ逃げたから、あいつらは助からないだろう・・・・」

「そ、そう・・・・・。
 じゃあ、横島クンは無理か」

「あ、あの〜・・・・」

 冥子の料理の正体を知っている美神は、横島の事を諦めたようだ。
 おキヌ1人だけ、話についていってない。

「こうなったのも俺に原因があるわけですから、今日はお手伝いしますよ(うん、いい考えだ。このまま香港に逃げよう)」

「えっ、助かるわ(まあ、帰りたくないわよね・・・・・冥子が何か作ってるときは)」

「え〜っと、私にもわかるように説明してください〜」

 重要な事件にはなるべく関わらないようにするはずなのだが、冥子の手料理には負けるらしい。
 冥子の手料理は、冥子ちゃん至上主義者の六道も退ける最終決戦兵器?だ。
 普通に作れば美味しい料理が作れるのだが、愛情を込めて作れば作るほど、用途不明の調味料の数と量が増えてしまう。
 愛情が隠し味、言葉的には間違ってはいないのだが、本当に加えてどうする?




「ずいぶん荒らされたわね。
 ここには金目の物は無いのに・・・・・変な泥棒ね」

 所変わって、唐巣の教会。

「いや、だから泥棒じゃないんだって・・・・・」

「ふ〜ん。
 で、警察には?」

「相手は普通の人じゃなさそうなんでね、まだ届けてないよ。
 一緒に霊視するのを手伝って欲しいんだ。
 何か手がかりが見つかるかもしれない」

「はぁ〜、めんどくさい。
 やれやれ、まっ、やりますか。
 六道君もお願いね」

 本当はこんなめんどくさい作業はやりたくないのだが、一応唐巣への義理があるので霊視を始める。

「了解」

 美神・唐巣・ピートは、教会内を歩き回りながら霊視をしているのだが、六道はその場から動かず、軽くまぶたを閉じるだけだ。

 ・・・・・・・・・・・・・・

「!!
 禍々しい霊気が近づいてくる・・・・・」

「えっ!?」

 六道の言葉に反応する美神。

「何処からかね?」

「ここに近づいてくる。
 正面、教会の出入り口だ」

 バッ!!

 皆、六道が指した方向を振り向く。
 振り向いた先には・・・

「あの〜、隣の者なんですが、昨日留守の間に届いた荷物を預かってまして・・・・」

 ズコッ!!

 予想と違った展開に驚き倒れる。
 無論、六道は除く。

「んっ、どうなさったんですか?」

「いや、何でもないですよ。
 それより荷物ってこれですか?」

 倒れている美神達をとりあえず無視して荷物を受け取りにいく。

「ええ」

「どうもご苦労様です」

 軽く微笑みつつ、荷物を受け取る。

「!!
 ・・・・い、いえ。
 そっ、それじゃ、確かにお渡ししました・・・」

 少し赤くなった頬を抑えつつ、早歩きで帰っていく。
 たまに六道の方を振り返りながら・・・・。
 そんなとても分かり易い、隣の住民の行動に対して、六道は

「んっ、風邪か?」

 ドンッ!!

 起き上がったばかりだというのに、もう一度倒れる。

「どうしたんですか?」

「いや・・・なんでも無いよ」

「ええ、なんでもないのよ」

 唐巣と美神はこう応えたが、心の中では

((((鈍すぎ!!))))

 と、4人の心は1つだった。

「で、それは何なの?」

「重さ的には、鉄製品ですかね?
 あと、先ほど言った禍々しい霊気は、これから発せられてるようです」

 ガサガサガサガサ・・・・

「ん?
 何かしら・・・?」

「何かの部品のようだが・・・」

「宛て名は、ピエトロ=ド=ブラドー。
 ピート、お前宛てだ」

「えっ、僕ですか?
 誰からだろう・・・・・・・」

「俺だ!」

 !!!!

「お、お前は!!」

「確か、伊達雪之丞君だったよね」

 GS試験の時を思い出し、相手の名前を確認する唐巣。
 実は、ピートvs雪之丞戦は良く覚えてなかったりするのである。
 女装した自分を、鏡で眺めていたので・・・・・

「ちょいとワケありでね・・・・。
 いきなりで悪いと思ったんだが、お前なら奴らにそいつを渡すようなヘマはしないと踏んだのさ。
 しかし、俺が・・・」

 ぐらっ

「ヘマだって事だ・・・」

 バタッ・・・

 力なく倒れる雪之丞。

「雪之丞君、大丈夫かね」

「先生!!」

 倒れた雪之丞に近づこうとした唐巣を美神が止める。

「なっ!!」

 ぞろぞろと、変なマスクを被った団体さんが教会内に入って来た。

「あれは昨夜の奴・・・・」

「今日は団体さんでおこしか・・・」

 団体さんの後ろから、ただ1人マスクを被ってない人物が近づいてくる。

「や〜っぱり、ブツはここだったのね?
 手間取らせてくれるんだから!」

「鎌田勘九朗・・・・」

 その近づいてきた人物は、鎌田勘九朗、先のGS試験で美神達と戦ったメドーサ一味の1人だ。

「つまんない事にまきこんで悪かったわね。
 さっ、ブツを渡してちょうだい、あんたたちには無用の代物よ。
 それに、これは私達の問題よ」

「そちらの事情はわからんが、メドーサの手下の言う事は聞けないね。
 それに、我々を頼ってきた以上、雪之丞君は友人だ。
 悪いが、おひきとり願おう!」

「へぇ〜。
 って事は、おじさんと吸血鬼のボーヤは、私の敵にまわるのね?
 で、美神令子さんはどうする?
 そいつをかばっても、一文にもならないわよ」

「う〜ん・・・・・・。
 確かに雪之丞の手助けをする義理はないわよね。
 こいつだってメドーサの手下だったんだし・・・・」

 唐巣の期待を見事に裏切る美神。

「OK、さすが美神令子さんね。
 なら、手出しは無用よ!!
 あんた達、行きなさい!!」

 ダッ!!

 マスク軍団が唐巣とピートに向け駆け出す。

「えっ、あっ、ちょっ・・・み、美神君!?
 それはなんじゃない!!」
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