旧姓横島・極楽大作戦!!
十七話
「アーメン!!」
バシュッ!!
唐巣の放つ霊気でマスクの半分が欠けた戦闘員A(仮)。
その欠けたマスクの先に見えるのは、腐れている顔。
「なっ!!
こいつら、ゾンビか!?」
「こりゃー、厄介だ・・・」
唐巣とピートが、マジメに戦っている中、美神達はというと。
「ん〜、どうします美神さん?
唐巣神父とピート、その場のノリで戦ってますけど・・・」
「あ〜っもう!!
先生ったらその場の熱血で後先考えないから・・・・まいったなー」
(メドーサも関わってる事だし、先生や小竜姫への義理立てか。
でも、めんどーだし・・・・何より、金にならない。
それでも、メドーサは何かむかつくし・・・・・・)
美神の中では、参加不参加どちらにするか結論が出ない。
六道は六道で、今日は美神の下についているから、美神が戦わないので眺めているだけであった。
ただ1人、おキヌだけが
「美神さ〜ん、助けないんですか・・・・」
と、マジメな意見を出してくれているが
「う〜ん。
利益を取るか、人情を取るか・・・・・」
全く聞いちゃいない。
「ちっ、仕方が無い。
美神くん!!」
さっと、財布から一万円を取り出し美神に差し出す。
「とりあえず、気持ちと言う事で・・・・・ねっ!!」
チーン♪
「えっ♪」
唐巣の<気持ち>を受け取り、利益と人情のバランスが人情に傾いた。
「まっ、しょーがないか!!
偶には恩師の手伝いでもしましょうかね」
神通棍の先を伸ばし戦闘体勢をとる。
「六道クン、私たちも参戦するわよっ!!」
「了解。
せいっ!!」
斬
近くにいたゾンビを、居合斬りで上半身と下半身に切り分ける。
「精霊石よ!!」
ボンッ!!
精霊石で数人のゾンビを吹き飛ばす。
「あっ!!
でも料金はちゃんと貰うからね!!」
今使用した精霊石の事を言っているのだと思う・・・・。
(・・・・・・雪之丞君がお金を持ってますように)
美神と六道がゾンビを攻撃してる間に、唐巣は雪之丞の回収に成功していた。
軽く見て、特に傷と言う傷はみあたらなかった。
「あらっ、結局美神令子さんも邪魔するのね。
でもね、誰にも私たちの目的を邪魔されるわけにはいかないの!!」
目の前のゾンビを退かし、美神たちの前にでて来る勘九朗。
「今ここで、この前のケリをつけてもいいんだけど・・・・・今はちょっと時間がないんでね。
コレで遊んでなさい」
チャッ!!
<土>と書かれた、将棋の駒のような物体を数個放つ。
カッ!!
その物体が地面に触れると、その物体から光が放たれた。
「グルルルッ・・・・」
その隙に、一体のゾンビが目的のブツを奪う。
「なっ!!
しまった!!」
「足元が固められていく!!」
ブツを奪ったゾンビを追いかけようとしたが、足元が固められて動く事が出来ないでいた。
「ふふふふふっ・・・・。
メドーサ様に頂いた結界兵器、土角結界よ!!」
勘九朗の前に、結界の制御装置のような物が現れる。
「ああ、1つ聞きたいことがあったわ。
ねえ、そこの色男さん」
「ん?
色男かどうかわからないが、もしかして俺の事か?」
君以外に誰がいる?
「ええ、あなたの事よ。
そこのおじさんや吸血鬼のボーヤの名前は知ってるけど、あなたの名前は知らないのよね。
もしよかったら教えてくれない?」
「六道忠夫」
「そう、六道忠夫ね。
じゃあ・・・・・生きてたら、また会いましょう」
勘九朗がその制御装置のようなものに触れると、美神たちの足元を固めていたものが、どんどん上の方まで固めだした。
「くっ・・・・!!」
「ブツは手に入れたわ。
引きあげよ!!」
勘九朗とゾンビは、そのブツを持って帰っていった。
「待たんかい!!
勝手に人のナワバリにズカズカ行って勝手放題しやがって・・・・!!」
「・・・・ここは私の教会だよ美神くん」
「そんな事よりどうにかならないんですか!!」
腰まで固められたピートが美神と唐巣に呼びかけるが
「まずいわね・・・・どんどん固められていく。
早く脱出しないと全員置物にされちゃう!!
んなもん私は認めないわ!!
まだ、全然稼ぎ足らないのよ!!
それに、土って何よ、土って!!
せめて金、もしくは宝石を使いなさい、勿論高い奴よ!!」
美神は話を聞いてくれず、土に固められるのが非常に嫌なようだ。
「くっ!!
美神くん、私に精霊石を!!
六道くんは雪之丞君を頼む!!」
支えていた雪之丞を六道の方へ倒し、唐巣の代わりに六道が雪之丞を支える。
「どうする気?」
耳と首につけていた精霊石を外し、唐巣に渡す。
「結界を破る事は出来ないが、流れを少し変えてやる事くらいはできるはずだ!!」
「なっ・・・!!
まさか先生っ!!」
「精霊石よ!!
私に力を貸せ!!」
唐巣が何をやるのか察したピートは唐巣に呼びかけ、止めるように言おうとするが、それより早く唐巣は行動を起こした。
「・・・・後は頼んだよ、美神くん」
唐巣は結界の流れを少し変え、固める対象を自分ひとりに絞った。
唐巣以外の結界は退いたが、その分唐巣の結界の速度が速くなった。
「先生!!」
「何してるの!!
みんなここから離れなさい!!
また結界に捕まりたいの!!」
「くっ!!」
美神の言葉を聞き、教会の外に飛びだす。
カッ!!
美神たちが外に出ると同時に土角結界が完成し、唐巣は石に封印された。
本来なら、肉体の部分はそのまま残るはずなのだが、無理矢理範囲を狭めたせいか、唐巣の肉体も結界の一部となってしまった。
「一体どうなったんですか?」
「精霊石のエネルギーで攻撃を全部自分自身に集中させたのよ。
あのままじゃ全員やられてたわ・・・・!!」
おキヌの疑問には美神が答えた。
「先生・・・・・」
「し・・・心配するな・・・。
元に・・・戻す方法なら・・・ある」
弱い声をだしならが膝をつくピート。
そこに、雪之丞の声がとどく。
「ゴラァ!!
どうやるんだ!!
早く言え!!
さあ言え、すぐ言え、兎に角言わんかい!!」
ぶんぶんぶんぶん・・・・・。
雪之丞を六道から奪い去り、上下左右とにかく振り回す。
「ピ、ピートさん、この人怪我してるみたいだから・・・・」
おキヌの声が聞え、動かしていた腕を休める。
「は・・・・・腹減った・・・・・」
ブチッ!!
「死ねっ!!」
殺意を持った一撃を雪之丞に対し放とうとしたピートだが、六道により止められる。
「ッ!!
何で邪魔するんですか!!
こんな奴のせいで、先生は・・・・先生は・・・・」
六道に言葉を浴びせるが、六道は何も言おうとしない。
「え〜っと、雪之丞さんでしたよね?
もしかして、怪我してるんじゃなくて、空腹で倒れたんですか?」
「ああ・・・・もう5日は何も食ってねよ」
怪我していると思っていたおキヌの予想は見事に外れた。
「はぁ〜。
で、その方法って何?」
「作成者、もしくは使用者の手を、その制御装置に乗せれば、あのおっさんは息を吹きかえす。
つまり、メドーサか勘九朗の手さえあればいいんだ」
「って事はあいつを追わなきゃ駄目ってことね。
行き先はわかるの?」
「・・・・・・香港だ。
そこに奴らはいる」
「・・・・・・はぁ〜、メンドイけど仕方が無いか」
・・・・・・・・・・
「話は終りましたか?」
ピートの腕を離し、美神と雪之丞の話を聞いていた六道が声をかける。
「ええ、もういいわよ」
「なら、土角結界を解除しますね」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
・
「「「「はぁ!?」」」」
「これでいいかな・・・」
六道は『土』『角』『結』『界』『解』『除』の文珠をつくり、唐巣の体に押し当てる。
キィィィィン!!
唐巣を固めていた塊がどんどん退いていく。
塊が完全に消えた時、支えを失った唐巣の体が重力に逆らえずそのまま地面に倒れようとするのをピートが受け止める。
「先生・・・・・」
「ちょっと六道クン!!
何でもっと早くやらないのよ!!」
美神の怒りが六道に炸裂するが
「勘九朗がいた時に解除したらあいつらと長々戦う事になりますよ。
それに、あいつらがいなくなって解除しようとしたら、先に唐巣神父が精霊石を使ったんで無理でした」
「・・・・・・・つまり、先生に渡した精霊石は無駄っていう事?
あれ、高かったのに・・・・」
首を縦に振り、肯定と伝える。
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