旧姓横島・極楽大作戦!!
十八話


「ホンコンー、ホンコンー!!」

 カシャッカシャッ

「ほんこんって空港ってとこにそっくしですねー」

「・・・・イタリアでもやってませんでしたか、それ?」

 香港に着いた美神一行、まず最初に行なった事は、横島・おキヌのボケにピートのツッコミだ。
 何故ここに横島がいるのかというと、六道が旅行に必要な荷物をとりに帰った時に、倒れている横島を引きずって連れて来たのだ。

「雪之丞、これからどーするの?」

「何処かに宿をとって作戦会議といこうじゃないか」

 ズルルルルッ・・・・っとラーメンを食いつつ答える。

「そろそろ教えてくれてもいいんじゃないの?
 あの鉄針は何なのかを・・・・」


――香港で起きている事件について説明中、ついでに元始風水盤についても――


 話を飛ばしに飛ばして、現在は海底トンネルの中。

「見な、このキレツから霊気がもれている。
 たぶんこの香港島の地下にアジトがあるんだろう」

「そうか・・・・僕なら体を霧にして侵入できる」

「1人でか?」

「もう1人だけなら僕の能力で一緒に連れて行けますが・・・・」

「私が一緒に行くわ!!」

「そうですね、僕はまだこいつを信用してませんから・・・・」

 雪之丞を見つつ答える。

「好きにすればいい」

 雪之丞もそっけなく答える。

「では、行きます!!
 バンパイア―」

「―文珠を使って皆で行くってのはどうだ?」

 霧になろうとしたピートの行動を妨げるように六道が意見を出す。

「・・・・なら最初から言いなさいよ」

「いえ、何かいい感じに話が進んでたんで、邪魔するのは悪いかなって思いまして」

「それでもいいから、教会の時といい今回といい六道クン、狙ってやってない?」

「ん?
 違いますけど」

 美神の問いに、六道は呆気なく否定する。

「で、どうやるつもり?」

「ピート、コレを使え」

 ピートに渡したのは『強』『化』の文珠。

「それで能力を強化すれば全員でいけるはずだ」

「わかりました。
 では、行きます!!」

 今度こそピートは霧になり、美神たち全員を一気に連れて行く。
 30秒位たった頃、先のほうに僅かに光が見えた。

「出口のようです。
 ・・・・外に出ま―」

 −ドッ!!

 霧が外に出た瞬間、弾かれるように実体に戻る。

「くっ!!」

「なんだって言うのよ!!」

「ふふふ、まあ来るとは思っていたけど結界に気づかなかったの?
 それにしても吸血鬼のボーヤの力を甘く見ていたようね。
 一気に全員来るとは思っても見なかったわ」

 美神たちの前に現れたのは、教会に続き再び勘九朗だった。

「さあ、やりましょうか」

 自分の体に魔装術を施す。

「魔装術・・・・戦うしかなさそうね。
 けどこの人数相手に1人で戦う気?
 別に私は“勝てばいい”主義なのよね」

 この場には美神、横島、おキヌ、唐巣、ピート、雪之丞、六道の7人(幽霊も1人2人と数えさせていただきます)がいる。
 戦えぬおキヌがいても6対1、美神の中では既に勝ったも同然と認識している。

「誰が一人って言ったのかしら?」

 パチン!!

 勘九朗が指で音を鳴らすと、洞窟の奥のほうからマスクを被った集団がゾロゾロとでてきた。

「メドーサさま特製ゾンビよ。
 動きは素早いし、ダメージにも強い!
 この前みたいに簡単には倒せないわよ」

「・・・・・勘九朗」

「なに、美神令子?」

「アンタさ、卑怯だと思わないの?
 こっちは非戦闘員で幽霊のおキヌちゃん入れて7人なのよ、アンタ何?
 そのゾンビ、50体近くいるんじゃない、少しは恥ずかしいと思わないのかしら?」

 アンタが言うな、アンタが・・・・と、この場にいる殆どの者がそう思ってしまったがツッコム勇気のある者は残念ながら一人もいなかった。

「別に恥ずかしいと思わないわよ。
 美神令子、あたしもね“勝てばいい”主義なの。
 こんな時言う事じゃないけど、あなたとは気が合いそうなんだけどね」

 美神の嫌み攻撃は全く効果が無かった。

「ふぅ・・・・俺と横島がゾンビ達。
 雪之丞と唐巣神父は勘九朗。
 美神さんとピートはこの場を無視して先に進む。
 何か質問は?」

 いつまで言い合っても、結局の所戦うしか道は残っていない。
 それに時間の経過は、美神たちのマイナス要素を増やすだけなので六道が勝手に各自の役割分担を決める。

「・・・特に無いわ」

 他のメンバーも異論は無いらしい。
 ただ、六道の刀の先が横島の首筋に添えられているが、それはお約束である。

「あら、話し合いはもういいのかしら?」

 律義にも、話し合いが終るまで待ってくれた勘九朗。
 意外とジェントルマンなのかもしれない・・・・口調はアレだが。

「別に待ってくれって言ったわけじゃないけどね。
 準備も整った事だし・・・・行くわよ!!」

「闇の衝撃!!」

 ドンッ!!

 勘九朗の手前辺りを狙って衝撃波を放つ。
 煙が舞って視界が悪くなった所で美神とピートが走り出した。

「じゃ、後頼んだわよ!!」

「先生なるべく急ぎますんで後お願いします!!」

「ああ任せたまえ」

「俺達もいくぞっ!!」

 雪之丞は勘九朗と同じ魔装術を自分にも施し戦闘態勢をとる。

「やっぱ俺には無理だって・・・・」

 1人だけ泣き言を言ってる横島。
 彼の前にはゾンビの群れが・・・・この状況なら泣き言の一つや二つ言いたくなりますね(笑

「おらっ!!」

 雪之丞が接近戦を挑むも

「あらあら、あなたじゃあたしに勝てないわよ」

 雪之丞の攻撃は片手で受け止められる。

「タイマンならな・・・・」

「主と精霊の御名において退け、邪悪なる者よ!!」

 雪之丞の後ろから唐巣の霊波砲を撃つ。
 しかし、空いている手でそれを受け止めた。

「おじさんの癖に中々の威力ね・・・・流石美神令子の師匠って事かしら。
 でもね、この程度の力じゃあたしには聞かないわよ・・・・・はあっ!!」

 ドンッ!!

「「くっ!!」」

 雪之丞を押し返し、唐巣の霊波砲を投げ返す。

「あんた達は時間稼ぎって事かしら?
 あたしとしてはゾンビと戦ってる色男さんと戦いたかったんだけど・・・・残念ね」

「けっ、まだまだこれからだぜ!!
 俺を甘く見るなっ!!」

 先ほど以上の勢いで飛びだしていく。
 一方横島・六道ペアvsマスク集団、改めゾンビ軍団は

「メドーサ特製と言っても、所詮ゾンビ。
 俺の敵じゃ無い」

 斬!!

 接近してきたゾンビ1体を斬る。
 六道は地道に一体一体斬り捨てていく。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!
 こっちくんなボケッ!!」

 ブンブンブンブン・・・・

 霊波刀をひたすら振り回し、ゾンビが近づいてこないよう牽制する。
 ただゾンビが恐いからなのかもしてないが・・・・・

「横島さん頑張れ〜!!」

 今までは横島と一緒に応援していたおキヌだが、今回は1人で応援だ。
 美神についていっても良さそうなのだが、やっぱり横島を応援していた。
 偶にチラリと六道の方も見ていたようだが・・・・横島一筋なので多分大丈夫だろう。

 雪之丞・唐巣ペアは勘九朗に苦戦し、横島・六道ペアは着実にゾンビの数を減らしていった。




 一方、元始風水盤の鉄針を強奪しに行った美神・ピートペアは強い霊気を感じとっていた。

「こっちみたいね」

「そうですね・・・・」

 強い霊気の感じる方へ進んでいくと、広い所にでた。
 足元には何かの装置らしき物が敷き詰められていた。

「これが元始風水盤ね・・・・・」

「美神さんあそこ!!」

 ピートの示す先、元始風水盤の中央に鉄針が置いてある。

「じゃ、とりあえすアレ奪って撤退するわよ!!」

「わかりました」

 ピートが鉄針を装置から取り外している間、美神は

(んとにこんな時じゃなければ、この地面に敷き詰められてる装置の一部でも分捕って行きたいんだけどな・・・・高く売れそうだし)

 と、こんな時でも金儲けについて考えていたりする。

「美神さん外しました!!」

「じゃ、早速てった―」

 ―ヴヴヴヴヴヴヴッ!!

 警報だろう、鉄針を装置から取り外すしたら鳴り始めた。

「ちっ、面倒な事になったわね・・・・」

 カッ!!

 バチバチバチバチッ!!

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 美神とピートに、横から何者かの攻撃が届く。

「・・・・おやおや、誰かと思えば美神令子に吸血鬼のボウヤ。
 勘九朗に遊んでもらえなかったのかい?」

「メ、メドーサ!!」

 先ほどの攻撃と共に、体が動かなくなる呪縛をかけたのだろう、美神とピートは体を動かそうと思っても、体が動く事は無かった。

「この年増!!」

「・・・・相変わらず口は悪いようだね、美神令子。
 ありがたく思うんだね、たかが人間がこの私の手にかかって死ねるんだから・・・・」

 まず美神に対し、力を溜め始めた手を向ける。

<そうはいきませんよ、メドーサ!!>

「この声は・・・貴様か!!」

 カッ!!

「呪縛が解けた!?」

「逃げるわよピート!!」

 呪縛が解けた事で行動可能になった美神にピート。
 2人は撤退を始めようとするが

「でもね・・・・そう簡単に逃がしはしないよ!!」

 愛用の武器を取り出し、美神たちに接近しだす。

「くっ、精霊石よ!!」

 ボンッ!!

「ちっ!!」

 首にさげている精霊石をメドーサに投げつけた。
 メドーサは、とっさに防御し、ダメージらしいダメージはくらってないが足を止めてしまった。

「美神さん!!」

「アンタはさっさと逃げなさい!!
 それがある限り私は無事だから!!」

 神通棍を構え、迎撃体勢をとる。

「くっ!!」

 美神に言われるまま、来た道を急いで戻っていく。

「待ちな!!」

 鉄針を持っているピートを追いかけようとするが

「あんたの相手はこの私よ!!」
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