旧姓横島・極楽大作戦!!
十九話
「こんちくしょぉぉぉ!!」
ザシュッ!!
横島の一撃でゾンビの一体が倒れる。
「・・・・・俺って結構やれるじゃん。
ならばっ!!
待たせたなゾンビ共!!
このスーパーでウルトラなヒーローの横島様の攻撃を受けてみろ!!」
相手が自分より弱い事を身をもって知った横島は、病弱な坊やから悪党を駆逐するスーパーヒーローに変わってしまった。
ただし、変わったと言っても気分的にである。
「おりゃおりゃおりゃおりゃ!!」
調子に乗った横島はゾンビの群れに突撃し、六道の方を向いているゾンビ達を背後から襲いはじめた。
「スーパー熱血斬り!!
スペシャル・ローリング・クラッシュ!!
ハイパー・エキセントリック・ウルトラ・乱れ斬り!!
・・・・・・・・・!!」
斬斬突打斬蹴斬突斬・・・・
言ってる事は大袈裟だが、やってる事はちょっちセコイと思う。
「どうだどうだどうだ!!」
まっ、やる気が出てきたようなので問題無し。
「喰らいやがれ!!」
「アーメン!!」
ズギャァァァ!!
雪之丞と唐巣の霊波砲が同時に勘九朗を襲う。
「バラバラに攻撃しても駄目だから、次は一点集中って事?」
二人の霊波砲を片手で受け止めているが、まだまだ余裕がある勘九朗。
「所詮あたしの敵じゃ無いのよ!!」
ドンッ!!
受け止めていた霊波砲を押し返す。
「ちっ!!」
「くっ!!」
雪之丞は右に、唐巣は左に避ける。
目標を失った霊波砲は
「ス、スイマセン!!
美神さんが―」
―チュドォォォォン!!
「「「・・・・・あっ」」」
メドーサの元から逃げてきたピートに見事命中。
雪之丞・唐巣・勘九朗の声は見事ハモった。
「だ、大丈夫かねピート君!!」
「勘九朗よくもやりやがったな!!」
「ちょ、ちょっとイキナリ何よ!!
あれは元々あなた達が撃ってきたんでしょ!!
何であたし1人が悪くなるのよ!!」
・・・・・いや、勘九朗が心配する必要は無いと思うんですが、イキナリの出来事でその事に気がついて無かったりする。
「ピート、美神さんは?」
焦ってる人達をサクッと無視し、美神のことを尋ねる六道。
一応六道も戦闘中なのだが、結構余裕だったりする。
「・・・・はっ!!
スミマセン、僕が至らないばっかりに、美神さんは僕を逃がす為にメドーサと戦っています」
ピートの言葉を聞き、固まった方が数名。
「「「み、美神さん(くん)・・・・」」」
「・・・・横島、おキヌちゃん、集まれ!!」
六道がピート達がいる所に横島たちを呼び寄せる。
「ピート、目的の物は手に入れたな?」
「あっ、はい」
「なら、一時撤退」
「なっ!!
ちょっと待てよ!!
美神さんを、美神さんを置いていくのかよ!!」
ぐいっ
横島は怒り任せに六道を掴むが
ドッ!!
「かはっ・・・」
「横島さん!!」
実力行使で黙らせる。
「美神さんには悪いが、一旦戻り態勢を整え直す。
あちらの欲しがっている物はこっちが持ってるから、そう簡単には美神さんには手出しできないだろう。
って事で、今回は退かせてもらう」
「あら、退くって言っても、そう簡単に逃げてもらっても困るわね。
あたしとしては、今この場でそれを返してほしいだけど。
それに結界があるのにどうやって逃げるのかしら?」
戦闘後だというのに余裕がある勘九朗、7割方減った気がするがそれでも10数体残っているゾンビ。
GSチームは、余裕で無傷の六道、応援のみなのでこれまた無傷のおキヌ、前半逃げ回り後半頑張った少々疲れ気味の横島、勘九朗と戦い疲労している雪之丞に唐巣、メドーサの攻撃と流れ弾に当たってちょっちダウン気味のピート。
全体的に見て、GSチームの方が不利だったりする。
「どうやってか・・・・・無論力ずくでだ!!
漆黒の衝撃!!」
ドンッ!!
衝撃波を地面に当て、土煙を煙幕代わりにして姿を隠す。
「これ位の結界なら余裕で壊せる。
漆黒の刃!!」
ドカーン!!
「なにっ!!
結界が壊れた・・・」
「じゃあな、美神さんに何かあったら鉄針を壊されると思っておけ」
「ま、待ちなさい!!」
「ピート!!」
「はいっ!!
バンパイア・ミスト!!」
・・・・・・・・視界が良くなった頃、勘九朗達の前には亀裂の入った壁があるだけだった。
「・・・・・あたし達も戻るわよ」
「ヴヴッ・・・・」
侵入者がいなくなり、この場にいる必要が無くなった勘九朗達は、美神が捕われている元始風水盤の制御装置が置かれている部屋に戻っていった。
そしてこの場から人影が完全に消えたと思いきや
「・・・・・行ったみたいだな」
『迷』『彩』と『消』『音』の文珠を持つ六道を筆頭に撤退したと思われたメンバー全ての姿が現れた。
実は彼等、撤退せずにこの場に残っていたのだ。
六道が結界を壊したのは、勘九朗を騙す為だったらしい。
ただ、六道以外のメンバーは本当に撤退すると思っていたし、ピートは本当に霧になっていた。
しかし実際の所、六道が結界を壊した後『迷』『彩』で姿を隠し、『消』『音』で他のメンバーが上げた驚きの声を消していた。
「勘九朗には、後から行くような事を言っていたが、わざわざ向こうの準備が終るまで待つ必要は無い」
「・・・・オイ!!
って事は、俺は殴られ損か!?」
倒れた時おキヌに抱きとめられ、幽霊であるが触れる事が出来るおキヌの胸に顔を埋めていた為、完全回復している横島。
あと微妙に霊力UPしてたりする。
「・・・・・質問がある奴はいるか?」
横島をアッサリ無視する。
「いないな。
それと、何時まで隠れてる気だ小竜姫?」
ごそごそとピートのポケットから小竜姫(角バージョン)を抜き取る。
<隠れているわけではありません。
ここ香港では急激にエネルギーが消費し、僅か数分しか活動が出来ないんですよ>
「そ、それは!?」
小竜姫の声が角から聞え、横島はその事実に驚く。
「何て色気の無い姿・・・・もっとこう色っぽい姿が・・・」
無論、色気の無い姿に驚いただけだ。
「それで、何故美神さんも助けなかった?
お前なら美神さんも助け出せたんじゃないのか?」
「ちょっと六道君、その言い方は失礼だよ」
「そ、そうですよ六道さん」
<助けようと思えば助ける事は出来ました。
私の活動時間から考えても、結局の所逃げるしかないんですが・・・・。
しかし、今回の目的はメドーサではなく元始風水盤です。
それに要である鉄針の入手には成功したので、美神さんの安全は保障できると思います>
「そうか・・・・でも助けようとはしたんだろ?」
<・・・・・・ええ>
「なら美神さんを助けに行くか」
<待ってください!!
せめてこれくらいはさせて下さい>
バシュッ!!
キィィィィィン
小竜姫が人型に戻り、GS達の体力を回復させる。
「後はお願いします」
キンッ・・・
回復させ終わると、また角に戻る。
「行くか」
「「「「「おう(はい)!!」」」」」
ピートを先頭に美神がいると思われる場所、元始風水盤の制御装置がある部屋へ向う一行。
「横島」
「ん?」
「今回はこれを貸してやる」
自分の刀を横島に渡す。
「お前は使わないのか?」
「いらん。
今のお前の霊波刀は、出力不足でメドーサ達を斬る事が出来ない。
それを使って少しでも足りない攻撃力を補っておけ。
それに俺はこいつがある・・・」
横島に見えるように霊波刀を作る。
「お前と違って、俺なら奴らを斬る事も可能だ(まっ、んな事はしないけど。勘九朗は兎も角、メドーサはお前達が倒さなきゃな)」
「ふ〜ん」
んな事たぁ〜聞いちゃいないって感じで六道の言葉を無視し、借りた刀を試しに抜いてみる。
「・・・・・・・ホント真っ黒だよな〜」
六道の刀をしみじみ眺めながら一言呟く。
「よし決めた!!
こいつの名前は、ブラック・横島・ハイパー・ソードだ!!」
勝手に命名する横島、その顔はとても晴れ晴れしている。
って言うか、流石俺いい仕事したな〜って思っちゃてる。
「・・・・・・その刀の銘は混沌(カオス)だ。
勝手に変な名前つけるな!!」
「ちぇっ」
六道の持つ刀、その銘は混沌(カオス)。
残念な事に、横島が名付ける前に既に銘は決まっていたようだ。
「そろそろ着きます」
チンッ
用が無くなった為、刀身を鞘に戻す。
普段の横島を見慣れている面々は、今の横島の姿(普段と比べれば激しくマトモ)をとても頼もしく思うが
(くっくく、何か知らんがいいもん借りれたぞ!!
これでかっこよく美神さんを助ける事が出来れば・・・・・ぐへへへっ。
よっしゃ、とうとう俺にも春が来た!!
これであの体は俺のもんや・・・・あの乳が、尻が、太股が!!
神様仏様小竜姫様、僕はあなたを信じてました!!)
と、横島はこんな事を真面目に考えていた。
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