旧姓横島・極楽大作戦!!
二十話

「･･･申し訳ありません」

「ちっ････。
　まあいい、こっちには人質がいる。
　鉄針を破壊する事は無いだろう」

　倒れている美神を踏みつけつつ勘九朗を話をするメドーサ。

「ちょっと、その足どけなさいよっ!!
　何時まで人の事踏んでれば気がすむの!!」

　･････う〜ん、囚われの身なのに強気です。

「ふんっ、美神令子･････あなたは黙ってな!!」

　グリッ････

「いたっ!!
　オバハン痛いじゃないの!!
　こっちはあんたと違って若いのよ!!
　柔肌に傷つけんじゃないわよっ!!」

　いい感じに挑発してます。
　ってか、今の状況をわかっているのだろうか？

　･･････ブチッ!!

「･････････････誰がオバハンだって!?」

「あんたよ、あんた!!
　な〜に、それとも････んな事もわからない位ボケてんの？
　ゴメンなさいね････タレ乳!!」

「美神令子･･･････殺す!!」

　本気と書いてマジと言う･････んな位にキレたようです。
　愛用の武器を振り上げ、美神の頭部に狙いを定める。

「ちょっ･･･大人気無いわよ!!
　勘九朗、あんた止めなさいよ!!」

「メ、メドーサ様!!」

　折角捕らえた人質をココで殺すわけにはいかず、慌てて止めに入る勘九朗。

「放しなっ!!」

　ヴォン!!

　自分よりも大きい勘九朗を難なく投げ飛ばす。

「ちったぁ〜頑張りなさいよ!!
　さあ、もう一度チャレンジ!!
　早くこのオバハンを止めんかっ!!」

「まだ言うかっ!!」

「････自分で煽ってどーすんのよ」

　････ＧＳ美神令子、絶体絶命の大ピンチ!!
　勘九朗の忠告は無論無視の方向で･････。

「勘九朗止めんじゃ無いよ!!」

　ジロリと勘九朗を睨みつけ、邪魔する事を禁じる。

「･････じゃ、今度こそ死になっ!!」

「ちょっ勘九朗、頑張って止めんか!!
　ああもうっ、六道クンあんた今は私の丁稚でしょう!!
　んなら私を助けなさいよっ!!」

　美神の叫びも虚しく、メドーサの一撃は頭部めがけて振り下ろされる。

「誰も助けには来な―」

「―闇の衝撃!!」

「なっ!!!!」

　キィィィィン!!

　振り下ろしていた槍の軌道を、無理矢理変化させ衝撃波を弾く。

「ふぅ、美神さん挑発するなら少しは状況を見てからにして下さいよ」

　衝撃波が飛んできた方向を向くと、六道を始めとするＧＳチームが勢揃いしている。

「なっ、あんた達帰ったんじゃないの？」

「誰も帰るとは言ってない。
　態勢を整え直す為に退くと言ったはずだ。
　メドーサ!!」

「なんだい？」

「俺たちの欲しい者は其方に在り、お前達の欲しい物は此方に有る。
　手っ取り早く、力押しの取り合いといこうか？
　無論、此方は鉄針を壊しはしない。
　お前達は美神さんには手を出すなよ。
　片方が欲しいモノを手に入れた時点で、このルールは消滅する」

「･･････くっくくくくく。
　いいねぇ〜、あんたは中々話がわかるみたいだ。
　でもね!!」

　再び槍を美神の頭部に向ける。

「別にこっちはそんなルールに従う気は無いね!!
　渡さないと殺す･･････それだけだ」

「いや、従ってもらう」

　霊波刀をだし、その刃を裁縫針と同じ位の大きさまで凝縮する。

「普通には壊せないかもしれないが、この霊波刀なら傷つける事は出来るぞ････」

　多くの血を吸った鉄針は、霊的防御が非常に高く普通の攻撃では傷がつく事もない。
　しかし六道の霊波刀は、出力は変わらず極限まで凝縮しているので非常に威力が上がっている。
　同じ量の水でも凍らせた方が痛いって言う奴だ･･････多分。

「･･････ちっ!!」

　美神に向けていた槍を外す。

「あんたに動かれちゃこっちだけが不利なんで、動きを封じさせてもらうよ」

　魔力で作られた紐のような物で美神の手足を地面に貼り付ける。
　無論、うつ伏せのまま。

「ちょっ、せめて壁でキリストゴッコとかにしときなさいよ!!」

「ガキは黙ってな!!」

　ドンッ!!

「くっ!!」

　騒ぐ美神の横腹を蹴りつける。

「美神さんをそこに固定させるなら、此方も･･･」

　ザクッ

「鉄針はここに刺しておこう」

　その場に鉄針を突き刺し、他のＧＳメンバーに大まかな作戦を話し出す。

「ピート・雪之丞・唐巣神父はメドーサ、俺は勘九朗、横島はゾンビに････」

「ちょっマテやっ!!
　何で俺１人ゾンビと戦わにゃいかんのや!!」

「メドーサと勘九朗とゾンビ････戦うとしたらどれがいい？」

「･････ゾンビ」

「唐巣神父達は出来るだけ時間を稼いでください。
　上位魔族と戦うには準備が足りなさ過ぎる。
　俺は勘九朗を抑えます。
　横島、お前がゾンビ達を突破し美神さんを救出しろ。
　混沌（カオス）があるから、さっきよりは楽に倒せる。
　あと小竜姫も横島を一緒にいてくれ、美神さんを助けても動けないんじゃ話しにならない。
　助け出したら体力の回復を･･･。
　これでいいな？」

　小竜姫の角を横島に渡す。

「ちっ、今の俺じゃ足止めが精一杯って事か･･･。
　わかった」

「わかりました」

「了解した」

　雪之丞・ピート・唐巣は問題無し。

「美神さんを俺が助ければ････」

（「きゃぁ〜流石私の横島クンね♪
　　やっぱり最後まで頼れるのは横島クンしかしないわね。
　　助けてもらったお礼って言うのもなんか変だけど、私の･･･」

　「美神さん、最後まで言わなくてもいいですよ。
　　男横島、貴女の気持ちはわかっているつもりです」

　「よ、横島クン････いえ、忠雄さん」

　「令子････」

　ってな事になったりして、美神さん･･･貴女の横島忠夫がお助けします!!）

「げへへへへ･･････おっしゃぁぁぁぁ!!
　どんとこいやっ!!」

　横島もやる気十分････かな？

「･･････えっと、私はどうすれば？」

「おキヌちゃんか････幽霊のままで戦闘は危険だから、横島の応援をお願いね」

「はいっ」

　何処からか「がんばれ〜♪」と書かれた旗を取り出し、応援の準備が整ったおキヌ。

「さて、こっちの準備は整った。
　律義に待っててもらって悪いなが、お礼は何も無いぞ」

「はんっ、人間にしては強気だねぇ〜。
　その顔を絶望に染めてやるよ!!」

「闇の衝撃!!
　弐連!!」

　メドーサと勘九朗に衝撃波を放つ。

「ふん、甘いんだよ!!」

「よっ･･･」

　メドーサは弾き、勘九朗は避ける。

「いけっ!!」

　雪之丞・ピート･唐巣はメドーサに向けて、横島・おキヌはゾンビ達に向け駆け出す。

「へぇ〜、あたしの相手は貴方なのね。
　丁度良かったわ、貴方とは一度戦いたいと思ってたのよ」

「そうか、では期待に添えるよう頑張らせてもらおう」

「「････････････!!!!」」

　ダッ!!

「せいっ!!」
「はぁっ!!」

　カッ!!

　勘九朗の拳と、六道の蹴りがぶつかり合う。

　ドンッ!!

　いや、六道の攻撃は一撃目で勘九朗の拳を外へ流し、ニ撃目を顔に当てていた。

「そこっ!!
　闇の衝撃!!」

　ドカッ!!

「くあっ!!」

　続いて、衝撃波を当て吹き飛ばす。

「ふふっ、中々痛いじゃないの････でもね、人間ではこれが精一杯でしょうね。
　貴方は運が良いわよ。
　魔族に生まれ変った、あたしの犠牲者第一号になるんですから!!」

　余りダメージを喰らっていない勘九朗が歩み寄る。
　その顔は、今までのように仮面を被ったようなモノではなく、表情が浮かび上がってきている。

「魔に魅入られたか････」

「さあ、第２ラウンドといきましょうか!!」

　ズガァァァァァッ!!

　今までと比べ物にならない大きさの霊波砲を放つ。

「!!!!」

　キィィィィン!!

　サイキック･ソーサーを作り、霊波砲を受け流しつつ自らも横へ移動する。

「へぇ〜、あたしの霊波砲を避けるなんて中々やるじゃない。
　次は････」

　ドッ!!

　六道に急接近し拳を握り締める。

「あたしの拳を受けきれるかしら？」

　ゴォォォォ!!

「!!!!
　ちっ、闇の牙!!」

　闇を纏った一撃で応戦するも

　ドォォォォン!!

「ぐあっ!!」

　力負けし、壁に叩きつけられる。

「ふふっ、さーて如何するの、色男さん？
　魔族になったばかりとはいえ、今のあたしの力は上位魔族に匹敵するわ。
　そこを考えて逃げ回らないと、すぐ死んじゃうわよ。
　間違っても勝とうとは思わない事ね････」

「御忠告どうも。
　だが、俺の役目は時間稼ぎなんだよ。
　美神さんが動けるようになるまでお前を抑えていればいいんだ。
　それまでは、付き合ってもらうぞ!!」

「あーら、勇ましいわね。
　貴方のような色男さんの誘いなら断らないから付き合ってあげるわよ。
　ただし、貴方が死ぬまでだけど････」
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